2010年10月20日水曜日

スマートグリッドについて その1

CEATECへいってきましたが、日産自動車さんがこんなビデオを公開していたんですね。


 さて、こういうコンセプトは、すぐにでも実現できるかというと、なかなか難しい技術的な課題があります。そのひとつは、同期化力と電力系統の制御でしょう。
 電力というのは、発電所で作られます。それは、同期発電機という発電機で作られており、東日本では50Hz、西日本では60Hzという周波数になっています。すなわち、一秒間に50回もしくは60回正弦波という波が発生しているということです。これは、すべての発電所の発電機で一体化しており、同じタイミングでプラスになったりマイナスになったり(正確には位相がありますが)を一緒に繰り返しているということです。そして、それは大きな力となり、電力系統全体がその波によって動いているわけです。この同期発電機というのは、発電する力そのものがこの波を引っ張っているので、電力系統にモーターをつないで何かをまわそうとすると、発電機の力がそのままモーターに伝わって回転すると思えばよいでしょう。
 ところで、じゃあ太陽光発電はどうかといえば、回転機による発電ではないので、この波に乗ることはできません。波に乗るためには、その波にあわせて正弦波をつくらなくてはならないのです。これをおこなっているのがインバータという装置です。電力系統がどういうタイミングで波を作っているか見ていて、それにあわせて作った波で電力を送るわけです。ですから、モーターなどをつないでも、同期発電機のように、そのモーターを引っ張って回してくれるわけではありません。ほかのインバーターで接続された機器にはエネルギーを送れますが、同期化力はないわけです。これは、風力発電なども同じです。
 今は、同期発電機が一生懸命がんばっていて、そこにインバータが入ってくるので、量が少ないうちは影響がないわけです。しかし、あまり多量にインバータの電源が入ってくると、50Hzあるいは60Hzという周波数を守るのが難しくなってくるのです。基準となり、引っ張ってくれていた同期発電機たちが協調して動けなくなるのです。それが顕著に出るのが、雷などで送電線が止まった時です。インバータが多量に接続された電力系統をどうやって安定させるか。そこが課題でしょう。
 日本の電力系統は、すでにスマート化されているといわれていますが、こういった新しい電源が多量に入ったときにどうやって安定さていくかというのが、日本版スマートグリッドでしょう。
 太陽光発電も風力発電も、もちろんEVも良いですが、そちらの開発だけ進めば、スマートシティが実現するとか、スマートグリッドだというのは、一面的な議論でしょう。
 もし、この世の中から同期発電機あるいは同期電動機というものをなくしてしまって、すべて直流送電で実現するというなら、まったく課題となる点は変わります。しかし、現在あるものをなしにするということは現実的ではありません。ですから、どうやって円滑に次世代に移行するかを考えなくてはなりません。本当に環境にやさしい社会を築きあげるにはどうすればよいか、イメージだけではなく、本質を見失わないようにすすめなくてはいけないと思うわけです。

 EVが欲しいので、マンションから一戸建てに引っ越したいなぁ、と思います。一戸建てにすれば、オール電化も太陽光発電もできるなぁ、とも思います。イメージのエコな世界を実現するためには、まだまだがんばらねばならないと思うしだいです。